抗インフルエンザ薬 発症早期使用の見直しを

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メルマガ『秋月便り第146号』では、開業医から見た医療事情として、「タミフル耐性ウイルスについて(第11回)」というテーマが取り上げられました。

その中には、9月12日の毎日新聞の記事で、タミフル耐性ウイルスがさいたまの男児(5歳)から検出されたことが書かれておりました。8月21日に発熱し、タミフルを服用。いっ たん熱は下がったものの、26日に再び発熱し肺炎を起こしたものの、快方に向かったとの内容もありました。

新型インフルエンザの報道で、タミフルやリレンザ使用の記事もよく目にするようになりました。それは、メルマガでも触れられたように、日本感染症学会がこれらの抗インフルエンザ薬の早期使用を推奨しているからでしょう。


日本感染症学会は、重症例の報告の中に基礎疾患のない若年者が多く含まれることを重く見て、基礎疾患の有無にかかわらず抗インフルエンザ薬を発症早期から積極的に使用することを推奨しています。

これに対してCDCは、基礎疾患など重症化の危険因子があるものに対しては早期の抗インフルエンザ投与が必要としているものの、もともと健康な者が新型インフルエンザに罹患した場合は軽症であれば抗インフルエンザ薬の投与は必要ないとしており、この点が日本感染症学会の指針とはっきり違うところです。
[ 秋月便り第146号(2009年10月20日) ]


最近のインフルエンザ関連のニュースを見てみると、特にタミフル服用後の容態悪化、突然死が目立ってきております。
タミフル服用後に死亡したケースをいくつか取り上げてみました。


新型インフルで都内の5歳児死亡 国内で最年少、基礎疾患なく
http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009100801000833.html

 厚生労働省と東京都は8日、都内の男児(5)が新型インフルエンザによる脳炎で6日に死亡したと発表した。男児に基礎疾患はなかった。疑い例も含め国内22人目の死亡者で、5歳は最年少。

 都によると、男児は2日に発熱とせきの症状が出て、翌3日には熱が40度まで上昇。医療機関での簡易検査でインフルエンザA型が陽性となり、治療薬タミフルを処方され帰宅したが、まもなく嘔吐やけいれん、意識障害を起こしたため、救急搬送されて入院した。
 2009/10/08 21:27   【共同通信】



新型インフルで4歳児死亡 8歳女児、男子高校生も
http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009101401000439.html

 東京都は14日、都内の4歳男児が新型インフルエンザによる脳炎で死亡したと発表した。最年少の死亡例。また兵庫県西宮市は同日、新型インフルに感染した市内の8歳女児が多臓器不全で死亡したと発表した。2児とも基礎疾患はなかった。

  都内の男児は4日、40度近く発熱し、5日に近所の病院でタミフルの処方を受けたが、帰宅途中にけいれんが出たため別の病院に入院。呼吸の状態が悪化し6日、人工呼吸器を装着したが、CT検査で急性脳炎が疑われ、その後、新型インフル感染が判明したという。
 2009/10/14 20:52   【共同通信】



新型インフルで横浜の5歳児死亡 国内27人目
http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009101501000514.html

 横浜市は15日、新型インフルエンザに感染した同市都筑区の男児(5)が死亡したと発表した。基礎疾患はなかった。死者は疑い例も含め国内27人目。

 市によると、男児は12日に発熱。13日に自宅近くの医療機関で受診し、簡易検査でA型陽性と診断され、タミフルを投与された。同日夜に容体が悪化し、市内の別の病院に転院。集中治療室(ICU)で治療を受けていたが、15日未明に死亡した。

 市は死因について「新型インフルエンザによる重症肺炎と急性心筋炎」と説明している。
2009/10/15 16:11   【共同通信】



新型インフル:脳症で都内の3歳男児死亡 国内最年少
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20091023k0000m040086000c.html

 東京都は22日、新型インフルエンザに感染した都内の男児(3)が死亡したと発表した。死因はインフルエンザ脳症とみられる。基礎疾患はなかった。厚生労働省によると、新型インフルエンザによる国内の死者は29人目で、男児は最年少。

 都によると、男児は20日朝、39.6度の発熱があり、自宅近くの診療所でインフルエンザA型陽性と診断されタミフルを投与された。同日夕、容体が急変して意識を失い、都内の病院へ搬送されたが、間もなく死亡が確認された。遺伝子検査の結果、新型インフルエンザと確定したという。【江畑佳明】
毎日新聞 2009年10月22日 21時08分(最終更新 10月22日 21時26分)


これだけ、タミフル服用後に容態急変しているのにも係わらず、死因を新型インフルエンザだけとするところには違和感があります。
インフルエンザを治療するための薬で命を失っては、まさに本末転倒。
これ以上、大切な子どもたちの命を失わないためにも、日本感染症学会が推奨する、タミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ薬の使用の提言について、見直しが必要なのではないでしょうか。



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